00 — People
登場人物
竹園祐二氏クライアント
株式会社アルトル代表取締役社長。制作事業(同人誌・ゲーム)の成果報酬算定上の扱いを明確に切り分けたいという実務上の要請と、事業全体の長期ビジョンの両方を今回のMTGで開示。
古谷野支援者(本人)
成果報酬の算定対象の整理に加え、決算・収益計上の実務チェックの中で同人誌(株式会社エイシス経由)売上の計上漏れの可能性を発見。竹園氏の長期ビジョンをヒアリングし、今後の理念策定支援の土台とした。
01 — Decisions
決定事項・合意事項
- 契約の業務範囲は従来どおり維持(組織構築・経営データ整備・自動化システム支援・キャッシュフロー損益管理・評価人事制度設計。対象は人材紹介・SES・不動産仲介・研修事業その他)。Vol.2までの合意から変更なし。
- 成果報酬の算定に用いる単月売上総利益から、今回の契約期間(〜12月末)に限り制作部門(同人誌・ゲーム制作)の売上総利益を除外。既存クリエイターへの利益還元・権利付与の経緯があり、報酬体系を人材・不動産事業とは明確に分けたいという竹園氏側の実務的な要請が発端。次回契約更新時にあらためて協議する。
- 定例会議参加は契約範囲外の関連業務と位置づけ、竹園氏の任意参加とする(Vol.2の合意事項を踏襲)。
- 制作部門の同人誌売上(株式会社エイシス経由)が、正しく計上・連結できていない可能性が、MTG中の収支確認の過程で判明。Pixiv Fanboxの収益は別管理で確認済み。今後の収益計上の徹底が必要という認識を共有した(詳細は05節)。
02 — Tasks
タスク・宿題・ネクストアクション
竹園氏 側
| タスク | 内容 | 期限 |
| 修正契約書の確認 | 送付される修正済み契約書の内容精査。問題なければクラウドサインで締結。 | 届き次第 |
| 売上計上状況の精査 | 同人誌(株式会社エイシス)経由の売上等、計上漏れの可能性がある売上の実態確認(05節参照)。 | 次回確認 |
| 片倉氏への共有(任意) | 作成した契約構造・支援内容を片倉氏に説明する。竹園氏の判断で実施。 | 任意 |
古谷野 側
| タスク | 内容 | 期限 |
| 契約構成の再構築 | 成果報酬の算定対象から制作部門を除外した契約体系への修正。既存の基本契約書・個別契約書の文言修正が該当。 | 近日中 |
| 修正契約書の送付 | クラウド経由(PDF)で竹園氏へ送付。 | 近日中 |
| 収益構造・モデル単価の設計 | 人材紹介・不動産事業を含む各商材のモデル単価設計(継続テーマ)。 | 継続対応 |
03 — Scope Read
算定対象の読み取り
Vol.2の「関与拡大」との対比で見ると、今回の変化の意味が読み取りやすい。
深さは拡大、算定対象は限定という組み合わせ。Vol.2で古谷野は「単なる相談役」から「事業の役員のような立場」への関与拡大を受諾した。一方Vol.3では、契約の業務範囲自体は維持したまま、成果報酬の算定に使う売上総利益の範囲を人材紹介・不動産という収益の柱に絞り込み、制作事業分をこの契約期間に限り除外している。これは矛盾ではなく、性質の異なる2つの事業(収益重視で管理になじむ人材・不動産/竹園氏個人のクリエイティブ活動としての性格が強い制作)について、関与の深さはそのままに、報酬計算のロジックだけを事業ごとに切り分けたものと読める。
切り分けの実務上の理由。制作事業では既存クリエイターにほぼ無報酬・権利譲渡ベースで長く協力してもらってきた経緯があり、そこに古谷野への支払いが加わることで既存クリエイターとの公平性が崩れることを竹園氏が懸念した、という説明がされている。これは筋の通った実務判断であり、古谷野側から見ても、成果報酬の算定基盤(単月売上総利益)に、収支が不安定でまだ小規模な制作事業の数字を混ぜ込むメリットは薄い。
未整理の論点:算定対象の縮小と固定報酬の関係。今回変わったのは成果報酬の算定に使う売上総利益の範囲であり、支援業務の範囲自体は変わっていない。にもかかわらず、固定報酬(月額5万円)を含む報酬体系自体には見直しの議論がなかった。制作事業の売上規模自体がまだ小さい(後述、8万円台)ことを踏まえれば影響は限定的と見られるが、次回の契約更新(12月末)で算定対象を再び全事業に戻すかどうかの判断とあわせて、報酬体系側の調整要否も一度整理しておいた方がよい。
04 — Proposal Read
強み・懸念点
強み
算定対象の明確化による期待値のズレ防止制作事業の売上を成果報酬の算定対象から明確に外したことで、今後「制作の売上をどう按分するか」という曖昧な論点が発生する余地を先回りして塞げた。
経営データ整備支援の価値が実際に発揮された同人誌(株式会社エイシス経由)売上の計上漏れの可能性は、外部の目で収支を確認したからこそ見つかった実例(Pixiv Fanboxの収益は既に別管理で適切に把握されていることも同時に確認できた)。組織構築・経営データ整備という支援メニューの効果を、竹園氏に対して具体的に示せた形になっている。
懸念点
対価の再整理が据え置かれたまま算定対象の範囲が縮小したにもかかわらず、報酬体系(固定5万円+成果報酬)自体は見直されていない。次回の契約更新(12月末)まで放置すると、双方の認識にズレが生じるリスクがある。
制作事業の収支実態はほぼ赤字水準今回確認された制作1作品あたりの収支は、売上8万6,518円に対しクリエイター報酬・按分で概ね8〜10万円程度と、単純計算では利益が出ていない。竹園氏本人も「実績づくり」の位置づけと認めており事業としての優先度は低いが、算定対象から外した制作事業の収支を放置してよいかは別途竹園氏側の経営判断として残る。
05 — Findings
実務上の発見
MTG中の収支確認のやり取りから、契約論点そのものではないが記録しておくべき実務上の発見。
同人誌販売(株式会社エイシス経由)の売上計上漏れ
要確認・未計上の可能性が高い
00:54:40〜00:56:08 頃
「これの売上はもう全部入ってきてます?」「精底に」「その売上多分計上されてない」「あの、株式会社エイシスから入ってると思います」「多分ね、エイシスから入ってないんですよね、僕エイシスにね、見覚えないんすよ」「その売上計上しましょうか」
竹園氏は同人誌(該当作品、3話まで・購入690件、売上約8万6,500円)の入金元を「株式会社エイシス」と認識していたが、古谷野側はその名称の入金に見覚えがないと指摘。今年(2026年)中に入金があること自体は竹園氏側で確認済みだが、会計上正しく計上・連結されているかは未確認のまま、竹園氏側の宿題として持ち越された。なお、同じ制作事業の収益であるPixiv Fanbox(月額3,000〜6,000円程度のサブスク収益)については、この作品の売上とは別に管理されていることが本人から確認されており、計上漏れの懸念は今回のエイシス経由の売上に限られる。
制作1作品あたりの収支(参考値)
単純計算では赤字水準
00:56:08〜00:57:28 頃
「8万6,518円売り上げてて…それを作るにあたって払った費用は…1話に関して言うと2人制作関わって、2話3話が3人関わってる。それぞれ1万ずつ払ってる…8万払ってるプラス割合で印税で割合つけてるんで、多分10万ぐらいです」
該当作品(3話まで、購入690件)の売上は約8万6,500円に対し、クリエイターへの支払いは概算8〜10万円。単純比較では制作コストが売上を上回っている。竹園氏自身「実績作り」「クリエイターとしての思い」を主目的と位置づけており、収益事業としての優先度は本人も高くないと認識している。算定対象から外した制作事業について、今後どこまで踏み込んで収支改善のアドバイスをするかは、契約範囲外の関連業務としての大相談ベースになる(02節・本レポート03節参照)。
06 — Long-term Vision
長期ビジョンの整理
ミッション・ビジョン・バリュー策定の土台として、竹園氏の発言から読み取れる方向性を整理。
「船」の比喩に表れる考え方。竹園氏は会社を「船」に例え、自身の生存中・死後を問わず利他主義に基づく理念や文化が継承される土台にしたいと述べた。船という比喩は「目的地に縛られず、乗る人が入れ替わってもよい」というニュアンスを含んでおり、特定の事業や人材への固執よりも、理念・文化の継承を重視する経営観として読み取れる。
事業承継スタンス。「株式会社アルトル自体は売却せず持ち続け、M&Aしたい新規事業があれば別法人を立てて挑戦する」という考えが示された。理由として「みんなで育てた会社を売るのは引っかかる」という感覚的な説明があり、これは合理的な資産管理よりも関係者への情義を優先する価値観の表れと見てよい。ミッション・ビジョン・バリューを言語化する際、この「継続・非売却」を前提とした文言設計が竹園氏の実感に合うと考えられる。
クリエイターとしての自己認識。制作事業を続ける動機について、竹園氏は「縛られたくない」「表現を通じた問いかけ」「自分の考えが当たったらおもしろい」という3点を挙げている。事業としての優先順位は低いものの、本人のアイデンティティの一部として位置づいており、今回の算定対象の整理とも整合的である。